日本酒の種類【9種類】│吟醸酒・醸造酒ってなんだ!?

日本酒には9種類ある

日本酒には酒米の精米歩合や醸造用アルコール添加の有無などによって9つの種類に分けられています。下のリストは高品質と言われる順に9種類を並べたもので、純米大吟醸から普通酒まで分けられています。

この9種類のうち普通酒を除く純米大吟醸酒~本醸造酒までを「特別名称酒と呼び、醸造アルコールの添加の有無や酒米の精米歩合などによって名称が決められます。
普通酒は特定名称酒には分類できない日本酒のことです。

 

純米大吟醸



大吟醸酒
純米吟醸酒
吟醸酒
特別純米酒
純米酒
特別本醸造酒
本醸造酒
普通酒

 

ここではこの9種類の違い、つまりどのような基準で分けられているのか?
を見ていきたいと思います。

醸造アルコールの添加で分ける

日本酒を製造する際に醸造アルコールを添加する場合があります。

この醸造アルコールを添加するかしないかで、日本酒(特別名称酒)は2種類に分けることができます。
・醸造アルコールを添加していない日本酒が「純米酒」系
・醸造アルコールを添加している日本酒が「本醸造酒」系
です。

この分類方法でいくと大吟醸酒・吟醸酒にも醸造アルコールが添加されていることになりますよね。「大吟醸酒にもアルコール添加」と聞くと、「ええ~!大吟醸って添加物入ってんの!?」と引いてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

食品の世界では「添加物=体に悪いもの」みたいなイメージがありますからね・・・

日本酒に使う醸造アルコールは「添加物」というイメージよりも、甲類焼酎と考えてもらって良いと思います。実際にトウモロコシや米を発酵させて、連続式蒸留装置でアルコール分100%近くまで蒸留したお酒が「醸造アルコール」になっていますし、実際に醸造アルコールを36度未満にして甲類焼酎として販売もされています

醸造アルコールの添加量は酒蔵によって異なりますが、吟醸酒や本醸造酒では「清酒の製造品質表示基準」で以下のように添加量が決められています。

醸造アルコールとは

 醸造アルコールとは、でんぷん質物や含糖質物から醸造されたアルコールをいいます。
 もろみにアルコールを適量添加すると、香りが高く、「スッキリした味」となります。さらに、アルコールの添加には、清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止するという効果もあります。
 吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコールの量は、白米の重量の10%以下に制限されています。

出典:国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要 

 

日本酒を醸造アルコール添加の有無で分けると以下の表のようになります。

醸造アルコールの添加
なし あり
純米大吟醸酒 大吟醸酒
純米吟醸酒 吟醸酒
特別純米酒 特別本醸造酒
純米酒 本醸造酒
  普通酒

 

醸造アルコールとは何なのか?、なぜ醸造アルコールを添加するのか?
以下の記事もご覧ください。

大吟醸酒にもアルコール添加?│醸造アルコールを添加する理由
大吟醸酒や吟醸酒にも醸造アルコールが添加されています。少し不思議な感じもしますが日本酒の種類で「純米」と表示されていない日本酒には全て醸造アルコールが添加されているのです。醸造アルコールとは何なのか?どうして添加するのか?を説明します。

精米歩合で分ける

9種類の日本酒には精米歩合についての規定も定められています。

まずは「精米歩合」について簡単に書いておきます。
詳細な内容については以下の記事を参照してください。

酒米の種類と精米歩合(磨き)
日本酒造りに必要不可欠の酒米、山田錦や五百万石が有名ですが日本全国にはその種類は100種類以上あります。ここでは日本酒造りで人気のある酒米10銘柄について説明しています。また酒米を磨くほどに上品な日本酒となる精米歩合についても説明しています。

 

皆さんご存知のように日本酒は「米」を原料にして作られています。この米のデンプンを麹菌の力で糖化し(デンプンから糖を作る)、できた糖を日本酒酵母の力でアルコールに変えていきます。

つまり、米のデンプンが無ければ日本酒はできないということですね。

お米にはデンプンの他にタンパク質や脂質も含まれていますが、タンパク質や脂質が多すぎると雑味となってしまうため、日本酒造りではできるだけタンパク質や脂質を取り除く必要があります。

米粒の中でデンプンはお米の中心部分に多く含まれ、タンパク質と脂質はその周りに含まれています。そのため、お米を精米して(磨いて)不要な部分を取り除くのです。

日本酒のラベルなどには「精米歩合60%」のように記載されているものがありますが、これは「お米の40%を磨いて除去し、残った60%の部分で造った日本酒」という意味です。

精米歩合(%)=白米の重さ/玄米の重さ×100

精米歩合が低いほど磨きとる部分が多いため、製造コストはかかりますが雑味の無いスッキリした味わいの日本酒が出来上がります。

この精米歩合と日本酒の種類との関係を以下に示します。

精米歩合 日本酒の種類
規定なし 普通酒 純米酒
70%以下 本醸造酒  
60%以下 吟醸酒 純米吟醸酒
60%以下または特別な製造方法 特別本醸造酒 特別純米酒
50%以下 大吟醸酒 純米大吟醸酒

特別な製造方法とは?

特別本醸造酒と特別純米酒の規定には「精米歩合60%以下」の他に「特別な製造方法」という説明があります。

特別な製造方法と言われても、何が特別なのか良く分からないですよね。

実はこの「特別な製造方法」というのは、明確に定義づけされたものではなく、その酒蔵で特別な作り方をしている本醸造酒・純米酒という定義づけなのです。

★例えば精米歩合70%の本醸造酒でも、醪での発酵日数がその蔵で通常作っている発酵日数より長く取っていて、「特別な製造方法」と認められれば特別本醸造酒と名乗ることができます。

★その蔵で造っている純米酒が精米歩合75%だったとしても、通常複数の酒米をブレンドして造っているところを山田錦100%で造った場合、「山田錦100%使用!」のように表記して特別純米酒を名乗ることができます。

★精米歩合を60%以下にすれば「本醸造酒」または「特別本醸造酒」のどちらを名乗ってもOKです。「純米酒」「特別純米酒」も同様ですね。

以上のことをまとめると、次のようになります。

  • 精米歩合60%以下であれば、「本醸造酒」「特別本醸造酒」のどちらを名乗っても良い
  • 精米歩合60%以下であれば、「純米酒」「特別純米酒」のどちらを名乗っても良い
  • 精米歩合が70%より高くとも、酒米を1種にするとか発酵期間を長期にするとか、その酒蔵で通常とは異なる製造方法で製造された本醸造酒は「特別本醸造酒」と名乗ることができる(純米酒も同様)

まとめ

日本酒には酒米の精米歩合や醸造用アルコール添加の有無などによって8種類の「特別名称酒」と、それ以外の「普通酒」の計9種類に分けられています。

それぞれの日本酒には味や香りに特徴がありますので、自分に合った日本酒はどれなのかを選ぶ1つの目安になればと思います。

<9種類の日本酒まとめ>

     醸造用アルコール   
原材料 精米歩合 添加なし 添加あり

米麹

50%以下 純米大吟醸酒 大吟醸酒



60%以下または
特別な製造方法
特別純米酒 特別本醸造酒
60%以下 純米吟醸酒 吟醸酒
70%以下   本醸造酒
規定なし 純米酒  
その他含む 規定なし 普通酒

 

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日本酒~SAKE~│日本酒の雑学・種類・保存方法など
日本酒の歴史や作り方などの雑学と保存方法の3つのポイント、なぜ賞味期限が記載されていないのか!?などを説明しています。日本酒を楽しく飲むためも基礎知識として活用していただき、いろいろな日本酒を試すきっかけになるような記事を書いています。

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