日本酒~SAKE~│日本酒の雑学・種類・保存方法など

日本酒の雑学

日本酒(清酒)とは

そもそも「日本酒(清酒)」とはどのようなお酒を示すものなのでしょうか?

「一升瓶に入っていて、透明なお酒で、洋酒ほどアルコール度数が高くなくやや甘い感じのお酒」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

日本酒をネットで調べると以下のように説明されています。

日本独特の醸造酒.さけ. *原料は米. (対)洋酒

出典:三省堂 Web Dictionary

では、米を使って醸造酒を作ればそれが「日本酒」になるかというと・・・

現代の日本ではそうとも言い切れないところがあるのです。お酒の種類を明確に定義しているのは「酒税法」という法律なのですが、この酒税法の第三条7項に「日本酒」の定義が以下のように書かれています。

七 清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が二十二度未満のものをいう。
 イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
 ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発 酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
 ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

出典:e-Gov(イーガブ)

日本酒(清酒)は米、米こうじ、水だけが使用可能で、こす(濾過)という工程を経なければならないのです。アルコール度数22度未満というのは、醸造酒の製法ではこのアルコール度数がMaxな値だからです。

日本酒の歴史

日本酒がいつから作られていたかは明確には分かっていませんが、米を原料にしたお酒であるため、日本に稲作が定着した弥生時代以降(縄文時代に稲作が始まったという学説もあります)であることは確実です。

それ縄文時代にも「酒」と呼べるものは有ったようですが、米ではなく果実酒(クワやキイチゴなど)でした。

ところで、日本の神話時代にもお酒は登場していますよね。

そうヤマタノオロチ伝説です。

スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治するときに、お酒を飲ませて酔ったところをバッサリと!っていうあの伝説です。

まぁ、これは伝説なので、日本書紀や古事記を編纂するときに「酒」を登場させたものだと思いますが、それでも今から1300年位前(奈良時代)に編纂されているので、その頃には日本酒が作られていたことは確実です。

米を原料にした「酒」の記録で最も古いのは、奈良時代に作られた『大隅国風土記』と『播磨国風土記』の2つの書物です。

『大隅国風土記』の方は、「口嚼(くちかみ)ノ酒」という米を噛んで発酵させるお酒でしたが、『播磨国風土記』では神様にお供えした米にカビが付いたために酒にした、つまりカビ(麹菌)で発酵させて酒を造るという記述でした。このことからこの記述が日本酒の起源ともいわれています。

それから1300年の時を経て、今の日本酒が出来上がって行ったのです。

江戸時代は甘い日本酒が高級酒

現在はスッキリして飲みやすい辛口の日本酒が人気ですが、江戸時代では甘い日本酒が高級な酒と認識されていました。

江戸時代の日本人は甘党!? って思ってしまいますが、実はそうではなくて日本酒の製造方法に起因することなのです。

日本酒は米を麹で分解して糖を作り、この糖をアルコール発酵させて作る醸造酒です。醸造の過程で水を加えるのですが、水に対して米の量が多い日本酒は作られる糖の量も多いため甘味の強い酒になったのです。言い換えれば米の量を減らしてコストを下げた酒はその分甘味が少なかったということができます。

そのため、江戸時代では「甘味の強い酒=米を多く使っている酒」ということで高級酒になったというわけです。

また、料理に使う調味料として定着している味醂(みりん)も、以前はお酒として人々に人気のあった飲み物だったのです。

味醂の起源は中国伝来説、白酒に焼酎を加えた日本起因説など諸説ありますが、江戸期に清酒が一般的になる前は甘味のある高級酒として飲まれていました。清酒が定着した以降も、女性などには飲みやすいお酒として高い人気を誇っていたようです。

今でも「本みりん」と呼ばれる味醂はお酒の1種と分類されているため、酒税が課せられています。飲んでも美味しい「本みりん」も売られていますので一度試してみてはいかがでしょうか!?

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日本酒の製造方法

日本酒は製造方法からは醸造酒という部類に分類されていて、ワインやビールなども同じ醸造酒の仲間です。

醸造酒というのは、原料を酵母などの微税物を使ってアルコール発酵させて作るお酒の事で、アルコール度数を高める蒸留を行っていないため、概ねアルコール度数が20度前後のお酒です。

20度前後というのは、アルコール度数を上げたくとも自分で作ったアルコールで微生物が活動できなくなってしまためだからなのです。

醸造酒もアルコール発酵のさせ方によって「単発酵酒」「複発酵酒」の2種類があって、「複発酵酒」はさらに<単行複発酵酒>と<平行複発酵酒>に分かれています。

日本酒はこのうちの<平行複発酵酒>に分類されています。

実はこの平行複発酵は日本酒独特の醸造方法で、アルコール度数20度前後というのも平行複発酵だから製造できる高い数値なのです(他の醸造法ではアルコール度数がもっと低い)。

日本酒の製造方法は非常に複雑でたくさんの先人達の知恵が詰まっています。ここで全てを説明するのは不可能なので(汗)、極々簡単に概略をご説明します。

上でも書きましたが、日本酒の原料は「米と米こうじ及び水」だけです。酵母によってアルコール発酵をさせるためには糖分が必須となります。ワインのように果実を原料にする場合は果実に含まれる糖分を直接使うことができますが(単発酵)、米には糖分が含まれていないため米を直接アルコール発酵させることはできません。

そこで登場するのが「菌(こうじ)」です。蒸した米に麹をつけることで、麹菌が米のデンプンをブドウ糖に分解(糖化)してくれます。このブドウ糖を使って酵母がアルコール発酵を進めていきます。

蒸し米と麹、そして酵母(酒母)を同じ樽に入れると麹が米を糖化させ、酵母がアルコール発酵を進めるという、2つの工程が同紙に進むことになります(平行複発酵)。この時、一度に全量の原料を混ぜてしまうと酒母が弱って雑菌に侵されたりしてしまうため、酒母を入れた樽に蒸し米と麹を3回に分けて入れるのが一般的です(三段仕込み)。

元々はこのようにして仕込みを行い、熟成した段階でろ過したものが日本酒でしたが、現代では醸造用のアルコールを添加したり、糖類や調味料を添加したりする日本酒もあります。

日本酒の種類

日本酒の種類といっても銘柄という意味ではなく、ここでは製造方法から見た日本酒の種類についてお話しますね。

上でも少し触れましたが、日本酒の製造過程において醸造用アルコールを添加するかしないか、糖類を添加するかしないかの他にも、酒米の精米歩合によっても種類が異なります。精米歩合が高いほど良いお酒(吟醸酒)みたいな感じですね。

このような製造方法の違いで日本酒には多くの種類が存在します。最も耳にする種類としては以下の9種類があります。

  1. 純米大吟醸酒
  2. 大吟醸酒
  3. 純米吟醸酒
  4. 吟醸酒
  5. 特別純米酒
  6. 純米酒
  7. 特別本醸造酒
  8. 本醸造酒
  9. 普通酒

上から順に高級とされている種類ですが、これは原料コストや手間が大きく影響しているためであって、美味しいかどうかは飲む人の好みだと私は思っています。

1つの例えですが、夏でも熱燗で飲む人の中には吟醸酒よりも甘みの強い普通酒の方が美味しいという方もいらっしゃいます。その人にとっては普通酒が「美味しい酒」なのです。

日本酒の種類はどのように分けられているのか?は次の記事をご覧ください。

日本酒の種類【9種類】│吟醸酒・醸造酒ってなんだ!?
日本酒には吟醸酒とか醸造酒とか呼ばれているものがあります。また日本酒は米から作られているのに、純米酒とわざわざ書かれていることも。これらの呼称はいったい何が違うのかや、それぞれの日本酒の特徴などを記事にしました。日本酒の種類によって味も変われば香りも変わります。どの日本酒が美味しいと感じるのか、飲む前に日本酒の種類について知っておくことも必要ですね。

おすすめの日本酒は?

何度も書いていますが、私は「美味しい酒は人それぞれで異なる」と思っていますので美味い酒ランキングのようなものは作れません。そのため、私の主観が多分に入った記事になってしまいますが、これまで飲んだ日本酒やこれから飲んでみたい日本酒を紹介できたらいいなと思っています。

【おすすめの日本酒 Vol_1】
 大手メーカーの造る逸品【8銘柄】

おすすめの日本酒│大手トップ5社
【こだわりの日本酒 15銘柄】テレビCMなどで目にしたりする大手メーカーには、「近所のスーパーではあまり置いていない」日本酒も製造しています。例えば2016年度売上1位の白鷹酒造株式会社は「白鶴」ブランドで有名ですが、大吟醸酒「大吟醸白鷹」という銘柄の清酒も製造しています。このような大手メーカーが製造するお勧めの逸品を紹介します。

日本酒の保存方法・賞味期限

日本酒をできるだけ長く美味しく飲むためには保存方法はとても重要ですし、賞味期限ってどのくらいなのかも気になりますよね。ここでは保存方法と賞味期限について説明します。

保存方法のポイント

日本酒の保存方法で最も重要なポイントは光(紫外線)と温度です。直射日光や蛍光灯などの光が当たらない場所で、温度も低くて温度変化のない場所が保管には最適です。日本酒は火入れという殺菌を行っているので味の変化は比較的緩やかですが、生酒や生貯蔵酒はこの火入れをしていないお酒ですので、冷蔵庫などの温度の低いところでの保存がベターです。

<光の影響>

日本酒が光に当たると色が変化し香りも悪くなります。この変化は日光だけでなく蛍光灯などでも起こります。そのため多くの日本酒が着色されたガラス瓶に入っているのは、透明瓶よりも光を通しにくい瓶というのがその理由です。

<温度の影響>

仮に光が全く当たらない場所であっても、温度によっても日本酒の色が変化してきます。この変化は温度が高いほど早く進むため、できるだけ温度の低い場所で保存するようにしてください。特に生酒や生貯蔵酒は殺菌工程(火入れ)を行っていない生きている日本酒のため、常温ではなく冷蔵庫での保管が望ましいとされています。

家庭で保管するときの3つのポイント

・化粧箱に入っている場合は箱から出さないで保管する

・化粧箱が無い場合は新聞紙などで包んで光を遮断する

・冷蔵庫での保管が1番ですが、室内の場合は低温で温度変化のない場所で保管する

日本酒の賞味期限

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、日本酒には製造年月は表示されていますが賞味期限は記載されていません。

これは日本酒については食品表示法で賞味期限の表示を省略できるとなっているためです。ただし「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」によって製造年月を表示することが決められています。※ 「製造年月」は製造された年月ではなく、瓶詰めされた年月です

日本酒は「お酒」という性質上、長期間の保存に耐えられるという判断のようですね。

日本酒の味は保存期間よりも上で書いた光や温度の影響が強いため、美味しいか不味いかは飲んだ人の個人差によるものとされているようです。

日本酒の中には丁寧は保存で熟成が進み、新酒の頃よりも芳醇でまろやかな風味になるものもありますので、この辺も賞味期限の表示が義務化されていない理由の1つだと思います。

参考までに「清酒に賞味期限が表示されていない」という質問に対する独立行政法人 国民生活センターの回答を引用しておきます。

清酒(日本酒)は、酒の特性上、長期間の保存に耐え得るものであるため、食品表示法により、消費期限又は賞味期限の表示を省略できるとされています。その一方で、酒税法により、製造時期を表示することが定められています。

出典:独立行政法人 国民生活センター

 

まとめ

1300年以上の歴史のある日本酒について紹介させていただきました。

日本酒は種類も豊富なので、自分に合った日本酒を探す楽しみを感じていただけたら幸いだと思っています。

保存方法の3つのポイント

・化粧箱から出さない

・新聞紙などで包む

・温度が低くて温度変化のない場所で保管する

これも参考にして、美味しい日本酒を楽しんでいただければと思います。

 

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美味しいお酒を楽しむ│美酒と極肴
ここではお酒を楽しく飲むためにお酒の種類などを紹介しています。お酒は「百薬の長」と言われ、楽しい気分にさせてくれますが、「百薬の長」に意味には「適度の酒は・・・」という条件が付いています。飲みすぎは自分にも他人にも「百害あって一利なし」ですので、お酒の弊害についても紹介します。

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