ワイン│ワインの雑学・種類・保存方法など

ワインの雑学

ワインとは(日本には定義が無い!?)

皆さんは「ワイン」と聞くとどんなものを思い浮かべるでしょうか?

「ブドウ酒」「ブドウから造ったお酒」

など、「ブドウ」が頭に思い浮かびませんか?

 

実は日本にはワインに対する明確な基準がないのです。

お酒の種類は日本酒にしろ、焼酎にしろ、酒税法で基準が決められているのですが、ワインについては「果実酒」という大きな分類にくくられてしまっています。

ワインをWikipediaで見てみると、以下のように説明されています。

主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料である。葡萄酒、ぶどう酒(ぶどうしゅ)とも。通常、単に「ワイン」と呼ばれる場合には他の果汁を主原料とするものは含まない。日本の酒税法では「果実酒」に分類されている。

出典:Wikipedia

 

 

つづいて酒税法で「果実酒」を見てみると、酒税法第三条十三号には以下のように書かれています。

 

十三 果実酒 次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のもの(ロからニまでに掲げるものについては、アルコール分が十五度以上のものその他政令で定めるものを除く。)をいう。
イ 果実又は果実及び水を原料として発酵させたもの
ロ 果実又は果実及び水に糖類(政令で定めるものに限る。ハ及びニにおいて同じ。)を加えて発酵させたもの
ハ イ又はロに掲げる酒類に糖類を加えて発酵させたもの
ニ イからハまでに掲げる酒類にブランデー、アルコール若しくは政令で定めるスピリッツ又は糖類、香味料若しくは水を加えたもの

出典:e-Gov(一部要約)

 

つまり、ワインという名称からは「一般的にはブドウを主原料にしたアルコール飲料」を指しますが、法律上は「ブドウを含む果実から造ったアルコール飲料」ということになりますね。

ワインの主な産地であるフランスやイタリアでは「ワインの規格やグレード、名称」などには厳密な定義がなされてはいますが、日本ではそれらは定義されたおらず、モモやリンゴ・パイナップルなど、どんな果実を原料にしても「ワイン」とみなされてしまうのです。

こんなことを書くと「世界で最も多く製造されているし、歴史も古いのになぜ日本では定義が無いのか???」ってふしぎに思ってしまいますよね。

わたしも「なぜ?」って思っています (;^_^A

明確な理由は分からないのですが、「日本にはワインに対する定義が無い」ということは事実ですので、「そうなんだなぁ・・・」と納得するしかないですね!?(笑)

 

ただ、ワインのエキスパートであるソムリエを育成する場として「一般社団法人 日本ソムリエ協会」という法人があり、ここではワインを「ブドウ果実を原料として醸造した酒類」と定義しているようです。

日本でのワインの位置づけについては別の記事で書いてみたいと思います。

 

ワインの歴史

ワインの歴史は非常に古く、西アジアの新石器時代には既にワインが醸造されていたようです。人類がワインと出会ったのはさらに古く、最初は熟して落ちたブドウが自然の酵母で発酵し、それを見つけて食した(飲んだ?)と言われています。

新石器時代は西アジアのレバント地方(現在のシリア、レバノン、ヨルダン、イスラエルあたり)に起源をもつとされていて、紀元前8500年頃から始まったとされます。新石器時代の特徴は「磨製石器の登場」「農耕生産」「牧畜の開始」「土器の発明」「集落の形成」などがあります。

 ワイン発祥の地

様々な歴史的記念物や文献などから、南コーカサスのジョージア共和国(独立前はグルジアと呼ばれていました)では今から7000年~5000年前に醸造がされていたことが分かり、ワイン発祥の地の1つと言われています。同じ南コーカサスのアルメニア共和国では約6000年前のワインの醸造所跡が発見されています。

これまで発見された世界最古のワイン醸造の痕跡(土器などを化学分析してワイン醸造の痕跡を見つけることです)は、イランのザグロス山脈で見つかったものが世界最古(約7000年前)とされていたが、2017年にそれよりも古い約8000年前の醸造の痕跡がジョージアで発掘された土器から見つかったのです。しかもここではブドウ畑の跡も発見され、石器や獣の骨を道具としていた人類がブドウを栽培してワインを醸造していたというのです。

恐るべし!ワインの歴史!!! ですよね!

 

ワイン文化の広がり

出典:Tour Egypt

ジョージアで始まったワイン文化はやがて南下していき、古代エジプトでも紀元前4000年代末期にはワインが造られていました。古代エジプトの壁画にもブドウを栽培してワインを作っている場面が描かれています。

ワイン文化は南下と共に西方(ヨーロッパ)にも広がっていきました。この広がりの立役者となったのがフェニキア人と呼ばれる人々なのです。フェニキアというのは古代の地名なのですが、位置的には現在のシリア・レバノン・パレスチナあたりの地域です。

このフェニキア人が造るワインは当時から上質なワインとされ、「ビブライン」という形容詞としてその後も残っていました。

フェニキア人の功績は3つあります。

 

・ワインの輸出:世界最初のワイン商人として地中海の至る所へワインを輸出しました。その際にワインの酸化を防ぐため、松ヤニのシールをオリーブオイルでコーティングするという方法を発明しました。

 

・生産の普及:ブドウ栽培に最適な環境であったためビンヤード(ブドウ園)を作ることができ、ワインの生産組織を作ることができました。

 

・高品質ブドウ種の普及:ワイン用に使われるヨーロッパ品種にヴィティス・ヴィニフェラ種というのがありこの原種を各地に普及させました。現在でも美味しいワインを生出す品種は主にこのヴィティス・ヴィニフェラ種系です。

 

ワインは水割りで飲まれていた!?

ローマ帝国ではワインは水で割って飲んでいたようです。

現代でそんなことを聞くと、「ええぇ!もったいない!!」、「薄味のジュースみたいになってしまうのでは!?」って思ってしまいますよね。

 

実は当時のワインは現在のワインとは少し違っていました。
酵母によるアルコール発酵を行ってはいますが、今よりもアルコール度数はかなり低い状態で、その分糖分が多く残っていました。

つまり「濃縮された甘いブドウジュース・アルコール入り」みたいなものだったようです。
この甘さを抑えるために水で割っていたのです。

さらにヨーロッパの水は硬水のために、そのままでは飲みにくい飲用水でした。
この飲みにくい水を飲みやすくするために、ワインを入れていたようです。

ワインの水割りというより、水の味付け用ワインといった感じだったのでしょうね。

ワインの製造方法

ワインはビールや日本酒と同じ醸造酒という分類のお酒になります。

醸造酒というのはブドウやお米などの原料を、酵母によってアルコール発酵させて造るお酒の事ですが、醸造酒の中でも単発酵酒と複発酵酒の2種類に分かれています。

単発酵酒は糖質が多く含まれている原料を使うことで、そのまま酵母でアルコール発酵させて造ることができるお酒で、複発酵酒はデンプンなどを一度糖に分解してからアルコール発酵させて造るお酒です。

ワインの原料となるブドウは糖分を豊富に含んでいますので、酵母さえあればそのままアルコール発酵させることができる単発酵酒になります。

ワインには色の違い(赤ワイン・白ワイン・ロゼ)や、発泡性のあるスパークリングワインなどの種類があります。これらは製造方法によって変わってくるのですが、ここでは主に赤ワインを中心とした概略を説明したいと思います。

ブドウ栽培

良質なワインを造るには、ワイン醸造に適した良いブドウを栽培することから始まります。

以前は単一品種のブドウからワインが造られていましたが、現代人が好むワインの味を造るため、今では複数の品種のブドウをブレンドして醸造を行ったり、単一品種で醸造されたワインをブレンドしたりして造られることもあります。

どちらの場合でもワイン造りに適したブドウを良い状態で栽培することが求められます。

ブドウの品種

ワイン醸造に適しているブドウは、食用ブドウに比べて果実が小さい、皮が厚い、酸味と甘みが強い特徴があります。また、ブドウの品種にはヨーロッパ種、アメリカ種、マスカダイン種などがありますが、圧倒的にヨーロッパ種が好まれています。

ヨーロッパ種の学名は「Vitis vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ)」・・・・

上で書いたフェニキア人が世界中に広めた品種ですね!

代表的な品種としてリースリングカベルネ・ソーヴィニヨンメルローなどがあります。ワインを購入するときにラベルやPOPなどでよく目にする品種です。

ブドウの収穫は糖度が14~26度になった頃に行いますが、酸味と甘み・渋みなどのバランスが大切であるため糖度だけを基準とすることはできません。収穫時期の見極めは長年の経験とデータに基づいた職人技と言っても過言ではないと思います。

搾汁

搾汁(さくじゅう)は収穫したブドウを絞って果汁を取出す工程です。

まずブドウの心を取除き(除梗)、皮を破ります(破砕)。ブドウの心というのは果梗(かこう)という果実が付いている細い枝のような部分です。強い渋みを出したいワインの場合は、この果梗を入れる場合もあります。

伝統的な搾汁方法としては、木の桶などに入れて素足で踏んでいました。イメージ的には「村の処女が踏んで搾汁している」という情景ではないでしょうか?

この綺麗なお嬢様方が踏んで造ったワイン、
飲んでみたいような、やっぱ抵抗あるような・・・(笑)

現在ではステンレス製の除梗破砕機を使用して除梗~破砕までを自動で行い、そのままステンレス製のプレス機に運ばれて搾汁が行われます。

搾汁で得られる果汁の量はワイン専用品種で概ね果実重量の55~65%程度、日本の巨峰では80~85%程度となります。やはり巨峰は粒が大きくて果汁たっぷりなんですね!

一次発酵(主発酵)

搾汁された果汁の糖分を酵母の力でアルコールに変化させるのが「発酵」です。この時、果皮と果肉も一緒に発酵させると赤ワインになり、果汁のみを発酵させると白ワインになります。

酵母はブドウに自然の状態で付着しているため、搾汁を行えばそのまま発酵は始まります。以前はこの自然酵母での発酵が主でしたが、酵母によっては発酵の効率が異なったり、他の雑菌なども多数存在しているため一定の品質を保つことが困難でした。

現在ではワイン用の酵母を別に育てておき、その酵母を添加して発酵させています。さらに産地やブドウの種類によっては、アルコール発酵を助けるために糖類(果糖ブドウ糖など)を添加する場合もあります。

赤ワインの場合は20~30℃、白ワインの場合は15~18℃で数日~数十日発酵させ、液体成分を絞り出します。

二次発酵

一次発酵で絞り出した液体を、ステンレスのタンクや木製の樽に詰めて貯蔵します。木製の樽で貯蔵した場合、木(フレンチオークやアメリカンオーク)の香りがワインに移り、それが良い結果をもたらすメリットがあります。逆にステンレスのタンクで貯蔵した場合は、ワインへの外的な影響が少ないため、品質管理がしっかりできるとされています。

熟成期間はワインによりさまざまで、数十日のものもあれば、数年熟成させるワインもあります。熟成中、底にたまった滓(おり)は随時回収していきます。

瓶詰め

発酵が終わったワインは、セラミックフィルターや遠心分離などで滓を除去し、瓶などに詰められて出荷となります。

 

ワインの種類

ワインの種類と聞かれると、一般的には「赤ワイン」「白ワイン」「ロゼ」という種類を思い浮かべますが、ワインの製造方法によって4つの種類に分類されています。

スティルワイン

スティルワインは非発泡性のワイン(炭酸ガスを含まない状態のワイン)で、「赤ワイン」「白ワイン」「ロゼ」がこのスティルワインに含まれます。アルコール度数は9~15度程度です。一般的にワインといえばこのスティルワインを指します。

スパークリングワイン

スパークリングワインは炭酸ガスを製品の中に閉じ込めたワインで、フランスのシャンパーニュ地方で造られるシャンパンが最も代表的なスパークリングワインです。スパークリングワインの炭酸ガスは、ワイン醸造中に発生する炭酸ガスを閉じ込めたもの(発酵が完了する前に瓶に詰め、瓶内で発酵を継続させたもの)と、ワインを瓶詰めする際に人工的に炭酸ガスを注入したものの2種類があります。

フォーティファイドワイン

フォーティファイドワインは酒精強化ワインと呼ばれるワインで、ワイン醸造後にブランデーなどのスピリッツを添加してアルコール度数を15~22度程度に高めたワインです。
ポルトガルのポートワインやスペインのシェリー酒などが有名です。

フレーヴァードワイン

フレーヴァードワインはアロマタイズドワインまたは香味付けワインと呼ばれ、スティルワインに薬草や香辛料、甘味料などを加えたワインです。独特の風味をつけたワインでスペインのサングリア、イタリアのベルモットはどが有名です。
フレーヴァードワインは食前酒や食後酒、カクテルの原料などに利用されています。

ワインの保存方法・賞味期限

他のお酒と同様にワインにも賞味期限はありません。しかし、ワインは光・振動・温度・湿度などの影響を受けやすいお酒であるため、保存にはこれらの要因に気を使う必要があります。

具体的には「暗い場所」「振動がない場所」「温度が12~14℃くらいの場所」「適度な湿度がある場所」が適しています。またコルク栓を使用しているワインでは、保存中にコルクが乾燥して体積が縮んでしまい、隙間から空気が入ってしまうため「寝かせて」保存する必要があります。スクリューキャップを使用しているワインの場合は立てて保管しても影響はありません。

フランスなどではワイン用の地下室を持っている一般家庭も珍しくはありませんが、日本で専用の地下室を持っている人はほとんどいないと思います。

特に私のような一般庶民では皆無でしょう!

多少余裕のある方は、家庭用のワインセラーで保存する方法もあります。

押入れや冷蔵庫での保存も有効ではありますが、以下の点に注意が必要です。

・押入れ
 夏場は高温になってしまうため、秋から春まで程度の保管にします。

・冷蔵庫
 長期間の保管が可能ですが、温度が低いため熟成が進みません。さらに振動や
 他の食品の匂いが移るなどのリスクがあります。
 しかし、熟成を気にしなければ1~2年の保存はセラーと同等と言われています。

以上は数年間という長期保存の場合です。購入して早い段階で飲む場合は直射日光と高温(25℃以上)に注意をすれば、あまり気にする必要は無いかもしれません。

 

栓を抜いてしまったワインの保管はどうしたらよいのでしょうか?

ワインは光や温度以上に空気によって変化してしまうお酒です。特にコルク栓のワインは一旦栓を抜いてしまったら数日以内に飲まないと味が劣化してしまいます。その場合は別の小瓶などに移して食品用ラップで空気を遮断するか、ワインストッパー(真空ポンプ式)を使用して保管すれば一週間程度は保存が可能です。

まとめ

ワインは非常に多くの国で多種多様な味わいのワインが造られています。ワインの好みもワインの数ほど人それぞれだと思いますので、自分に合ったワイン探しは大まかな好みの方向性(赤が好き、甘いのが好き、渋めがいいかな・・などなど)を決めた後、色々なワインを飲んでみるのも良いのではないでしょうか。

収穫されるブドウの出来は年によって異なりますので、同じ銘柄のワインでも製造年によって風味が変わってきます。これらを飲み比べてみるのも楽しいかもしれませんね!

適切な方法で保管し(高温・直射日光・乾燥・振動を避ける)、美味しい状態でワインライフを楽しみましょう!!

 

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美味しいお酒を楽しむ│美酒と極肴
ここではお酒を楽しく飲むためにお酒の種類などを紹介しています。お酒は「百薬の長」と言われ、楽しい気分にさせてくれますが、「百薬の長」に意味には「適度の酒は・・・」という条件が付いています。飲みすぎは自分にも他人にも「百害あって一利なし」ですので、お酒の弊害についても紹介します。

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